米中貿易戦争といったハードな話題はさておくとして、最近の中国B級ニュース界隈で人気の話題のひとつが、本来は男性向けのアダルトグッズである「ラブドール」の著しい進歩だ。おそらく、この手の中国ラブドール・ニュースの先駆けになったのは、私が2017年秋に『SAPIO』(2017年11・12月号)で報じたAI搭載ラブドールの記事である。

 

私は中国の性事情に特化した新著『性と欲望の中国』を文春新書から刊行した。同書中では、大連の中国最大手ラブドールメーカーのEXDOLLへの工場見学記や、内陸部の貴州省の山奥でラブドール8体と暮らす「ラブドール仙人」の自宅にホームステイした話、仙人と一緒に上海の性文化展(チャイナ・アダルトケア・エキスポ2018)に行った話など、知られざる中国ラブドール事情について詳しく紹介している。

※貴州省の自宅で取材を受けるラブドール仙人(右)。未来に生きている60歳。2018年5月に仙人自宅で安田撮影

だが、同書でも紹介しきれなかった話もある。例えば、群雄割拠の状態にある中国の主要なラブドールメーカー各社の詳しい紹介と、その製品(主に造形クオリティ)についてのレビューだ。業界最大手である遼寧省大連市のEXDOLLについては『性と欲望の中国』のなかで詳述したので、以下はそれ以外のメーカーについてご覧いただこう。

※EXDOLL社が開発したAI会話機能付きドール。会話は本当にAIが使用されているが、身体の動作は職員がリモコンで操作しているとみられる……。とはいえ、中国ロボット学の最先端の研究者が開発に携わっており、AIの質だけでも相当スゴい。